海外宇宙ビジネス・マンスリーニュース
2026年2月28日 (株)サテライト・ビジネス・ネットワーク
編集者:岡屋 俊一
発行責任者:村上 淳
論説:衛星ダイレクト通信について(村上)
最近、衛星を用いた事業で衛星ダイレクト通信について意見を求められたり、分析をする機会が多いです。衛星ダイレクト通信方式としては、Starkinkが行っている地上の携帯電話の周波数の一部を衛星通信用に割り当てて貰って通信を行う方式とAST Mobileが行っている様に独自の周波数帯を用いて通信を行う2つの方式があります。
Starlinkは日本ではKDDIがサービスを行っている様に既にテキストメッセージのサービスを開始しています。衛星を通じて一般の携帯で通信を行うのですから、技術的には極めて難しいものになっています。AST Mobileは衛星を出来るだけ大きくして電波を強くすることで送受信を行うことを考えています。一方で、Starlinkは多くの衛星で切れ目なくサービスを行うことを目指しています。
Starlinkは現状使用している帯域幅が狭いことから、送れるデータ量に現状限界がありますが、今年から徐々に使用する帯域幅を広げたり、携帯電話の能力を上げることで音声サービスまで拡大することを考えています。
現在、Starlinkの契約者数は全世界で1200万人となっています。米国で提携しているT-Mobileが1.2憶人でKDDIの加盟者数が6000人であることを考えるとこの数字は十分普及しているとは言えない数字となっています。
しかし、Starlinkの戦略は現在電波が届いている人もいざと言う時に困らないようにすることを基本としており、あくまでバックアップとしての位置付けとなっています。Starlinkの契約に入る人は1日2万人で2026年末には契約数が2000万人になると言われています。
ダイレクト通信は事業としては、まだ始まったばかりですが、携帯の標準化では、既に地上と衛星の敷居を無くして一体化すると言った調整も進んでいます。現在、周波数は各国の承認を得る必要もあり、使用申請も時間を要することから、直ぐに世界で使用しようと言うことにならないのも事実です。
ただ、気になるのは、かつて世界の市場でそれなりのシェアを持っていた携帯電話のメーカが国内から消えた様に衛星も携帯電話も海外のものを使わざるを得なくなっている状況は何とかして欲しいと思っています。
幸いにも携帯電話のディバイスだけは、日本メーカも健闘して貰っています。衛星についても戦略基金でダイレクト通信に関連したプロジェクトが走り出します。失地挽回の為にも検討を期待しています。
ダイレクト通信の先は軌道上データセンターに繋がると言われています。データセンターも携帯電話も全て海外に依存するのは如何なものかと思っています。情報を全て海外から見える様になってしまいます。
2026年2月 宇宙ビジネス関連『事業ポジション別』・『市場分野別』トピックス
| 【民間宇宙トピックス】 | 【防衛宇宙トピックス】 | 【その他】 | |
| 【衛星】 | ■イーロン・マスク氏は更に100万基の衛星を検討している(002)(図-1) ■STエンジニアリング社がスペースサミット2026で先進衛星ロードマップ発表(006)(図-3) ■ボーダフォンIoT社とSkylo社が提携し、グローバルなハイブリッド衛星セルラー接続を実現(007) ■MUONスペース社が複数ミッション衛星コンステレーションを拡大(011) ■AT&T社とAmazon社が宇宙に築くカイパー・クラウド協定の多層的戦略(012)(図-4) ■NASAが2つの地球科学ミッションを選定(017) ■Viasat社は軌道上データセンターのパートナーシップの機会を求める(019)(図-8) ■スペースX社は宇宙交通管理システムを公表(052)(図-16) ■中国は大規模なLEO統制戦略でSpaceX社の支配に挑戦(055) ■アールト社は高高度疑似衛星サービスのためにオーストラリア基地を建設へ(062) ■軌道上デブリ対応を再構築:統計的アプローチから線量アプローチへ(069) ■SpaceX社はアップグレードされたダイレクト・トゥ・セル・スターリンクの150Mbpsパフォーマンス目標を発表(080) | ■ドイツは衛星とレーザーで軍事宇宙プログラムを強化する(010) ■Qualis社、InTrack社、Tektonux社が統合し先進ミサイル防衛及び宇宙認識プラットフォームを形成(013)(図-5) ■インドは軌道上兵器リスク高まりで軍事宇宙アーキテクチャ構築を加速(047) ■米国国防総省は商用衛星のGEOスパイ衛星転用を(053) (図-17) ■ボーイング社が軍用衛星用ミサイル追尾センサーを増産(061) ■ブルーノ氏はブルーオリジン社に参加したのは「緊急」な国家安全保障プロジェクトに携わるためと語る(063) ■イスラエルのスタートアップ企業が高解像度地球観測の経済性を狙う(066) ■AST SpaceMobile社軍用ブロードバンド実証で3,000万ドル契約受注(067) ■米国宇宙軍は軌道上燃料補給に関する市場調査を実施(068) ■インド太平洋宇宙安全保障がブーム(070)(図-23) ■ボーイング社が衛星生産拡大し、米宇宙軍のミサイル警戒を支援(071)(図-24) ■ロッキード・マーティン社はGPSアップグレードがジャミング脅威に対抗と主張(074) ■軍事宇宙開発資金で記念すべき年であったが、今後の道筋は不透明(075) ■グローバル防衛近代化としてBlackSky社とRedwire社が主要契約受注(077)(図-25) | ■軌道上データセンターに注目が集まり、宇宙経済に焦点(001) ■モーフィウス社がシリーズAラウンドで1,500万ドルを調達(014)(図-6) ■Aerospace社がDiskSatデモンストレーションのためのパートナーを誘致(028)(図-11) ■スペイシウム社は軌道上で燃料補給アクチュエータ機能実証(029) ■衛星メーカーはミニコンステレーションの新興市場に関心(031)(図-12) ■AXIOMスペース社が追加で3億5千万ドルを調達(037) ■共同創業者の退任と文化再編成に伴いSpaceX社がxAI事業を統合(046) ■エクソトレイル社は大統領訪問中にインドの宇宙企業から推進装置契約を受注(049) ■中国の競争に直面するアフリカ市場での米国の宇宙戦略(054) ■HEO社とUNSW社がオーストラリア初のアクティブ推進RPOミッションのパートナーとなる(065) ■新たな宇宙競争:産業統合が市場リードを再定義(076) ■宇宙交通において最大の課題は調整かもしれない(079) |
| 【打上】 | ■ブルーオリジン社がASTスペースモバイル社向けの新しいグレン3ミッションで初のブースター再使用を検証(003) ■アマゾン社がファルコン9打上げを更に10機購入(005) ■中国は蒙州有人宇宙船の飛行アボート試験を実施(016)(図-7) ■ヨーロッパ最強のロケットであるアリアン64の初打上げ迫る(032) ■中国「捷龍3号」ロケットを海上から打上げ、パキスタン衛星などを軌道投入(036) ■アリアン64ロケットがアマゾンLEO衛星を打上げる(038)(図-13) ■NASAはロケット上段部問題を解決するためにアルテミス2のロールバック準備を進める(064) ■英国Orbex社が初飛行前に経営破綻、欧州小型ロケット開発の苦境(072) ■NASAがアルテミス計画を刷新:SLSアップグレードを廃止し、2027年のLEOテストミッションを追加(083) ■ロケットラボ社がニュートロンロケットデビューを2026年末に延期(085) | ■米国宇宙軍はスターフィッシュスペース社にGEO防衛衛星の5450万ドルの契約を発注(023)(図-9) ■テレダイン社はSDAのトラッシュ3追跡層プログラムで米国国防を推進(025) ■NASAの支援を受けて宇宙軍向けの多波長センサー実証実施(026) ■ULA社のVULCANロケットが米宇宙軍ミッションを打上げるが固体ブースターに異常が発生(039) ■MDAスペース社が49Northを設立し、数十億ドル規模のカナダ防衛パイプラインを確保(057) ■米国宇宙軍は固体ロケット不具合の調査結果を待つためにバルカンミッションを当分停止する(082) | ■中国は再使用可能なスペースプレーンを4回目の秘密ミッションで打上げる(022) ■ULA社はCEO退任後に打上げ計画の再構築を目指す(030) ■再使用可能な打上げ機は宇宙と地球のすべてを変える(034) ■中国小規模民間ロケット会社が第1段地上燃焼試験実施(043) ■EUSPA社がタレス・アレニア・スペース社を選定し、EGNSSサービス実証機の開発を行う(048) ■ロケット上段の再使用の技術的障害(056)(図-18) |
| 【その他】 | ■ブルーオリジン社の「ニューシェパード」の打上げを2年以上停止し、有人月面活動にリソースを集中(004)(図-2) ■NASAがアルテミス2への燃料供給試験中の水素漏れを調査(008) ■米国下院委員会がNASA認可法案を推進(009) ■イーロン・マスク氏はSpaceX社事業の焦点を火星から月に変更と発言(024)(図-10) ■NASAとボーイング社はスターライナーの運用復帰に引続き取り組む(027) ■VAST社がISS民間宇宙飛行士ミッションを受注(040) ■アイザックマン氏がロスコスモス社のトップと会う計画を立てる(042)(図-14) ■NASAは大統領令への対応を待ついくつかのプログラムに取組んでいる(045) ■伊レオナルド社は地球観測衛星コンステレーション開発資金を提供(051) ■ラムダビジョン社がスターラブ商業宇宙ステーションのエリアを確保する(075) | ■ペンタゴンはゴールデンドームをより迅速でリスクに強い防衛のモデルとして位置づけている(015) ■宇宙企業が範囲や資金調達に関して疑問がある中ゴールデンドーム計画に賭けている(035) ■ゴールデンドームはソフトウェア確立なくしては失敗する(059)(図-22) ■米国宇宙軍は将来の人類の軌道上活動への扉を開く(081) | ■米国連邦の宇宙に携わる労働力が縮小している(018) ■中国が主要な月開発マイルストンとして有人宇宙船アボート試験とロケット回収試験実施(033) ■宇宙原子力のボトルネックとその解決方法は?(044)(図-15) |
| 【国内】 | ■JAXAがイプシロンSロケット開発計画見直しへ、2段目を変更し2026年度内の実証機打上げを目指す(020)(図-19) ■JAXAがH3ロケット9号機の打上げ延期を発表、「みちびき」7号機の打上げは2026年度以降に(021)(図-20) ■QPS研究所は一時不具合が生じていた小型SAR衛星「ツクヨミ-I」の商用運用再開を発表(041) ■日本のiSpace社は新型月着陸船エンジンの開発遅延を公表(058) ■JAXAが新型補給機「HTV-X」1号機のISS離脱予定日時を発表、離脱後は技術実証ミッション実施へ(060) ■H3ロケット失敗原因は衛星搭載構造内部の部材剥離を有力視と報告(078) | ■楽天モバイル社はJAXA宇宙戦略基金に採択され、「次世代衛星通信AI」で地上ネットワークとの統合運用へ(050)(図-21) ■スペースワン社が「カイロス」ロケット3号機の打ち上げを延期(084) |
