海外宇宙ビジネス・マンスリーニュース

2025年12月31日 (株)サテライト・ビジネス・ネットワーク

編集者:岡屋 俊一
発行責任者:村上 淳

論説:2025年の動きについて(村上)

今回は、米国、中国、欧州、我が国の宇宙開発の振り返りと今後について報告させて頂きました。
課題が多く、もがきながら進んだ1年と感じています。2026年はもう少し順調に推移して欲しいと願っています。

米国においてはTrump政権が発足後、NASA予算のガイドラインで科学予算の大幅削減とArtemis計画の見直しが5月に発表された。一方で7月には恒久減税法案(1つの大きく美しい法案)が成立し、この予算中にはSLS/Orionの5号機までの維持の一部やGatewayの開発継続が盛り込まれた。開発においてはArtemis計画については、ArtemisⅡの準備が確実に進むと共に有人着陸機の開発も進んだ。ただ、Starshipを用いた軌道上での燃料補給は今年に持ち越しとなってしまった。月面への人の着陸も2027年から2028年に延期されることが決まった。大統領令で月面に原子力発電設備を整備する方針が出され、月面開発を促進すべきとの方針が示され、月面に向けて全力で取り組むことが大統領から示されたのは1つの成果と言える。
安全保障関係では、Golden Dome計画が発表され、極超音速ミサイルを含む攻撃に対する抗堪性の向上の為の開発が進められている。既に100社を超える会社との契約が完了しており、開発は加速している印象を持っている。 米国での衛星打上げは200回を超えて過去最高となった。この内、Space-Xの打上げ回数が167回と全体に占める割合が極めて大きくなっている。

中国は、2030年までに人を月に送り込むことで開発を進めている。中国は宇宙開発の進め方が堅実で開発のスピードが速い。月の裏側に世界で初めて着陸に成功したり、月のサンプルを1トンも持ち帰る等宇宙開発能力のアップが相当図られていることを感じている。
打上げ回数も70回を超えており、ロケットシステムの開発も1段再使用を進めており、米国の実施内容をどんどん取り入れている。今年は中国版低軌道通信網の整備を進める計画となっている。
この様に中国の宇宙開発が着実に進む状況から、2030年に月に人を送り込み、その後、5年程度で恒久基地の建設整備が進むのは現実のものとなり、輸送機の開発に時間を要している米国は中国に後れを取るのではと言うことは現実になるかも知れないとの認識が出て来ており、この危機感が大統領令となったと見ている。

欧州については、ESA閣僚会議が11月に開催され、今後3年間の予算が前期の30%増で合意した。
安全保障関係の開発予算枠が新規に設けられた。欧州委員会では、米国との関係が悪化する中、欧州は欧州として自立性を確保し、欧州を関係国で守る必要がある方針を出して来ており、このことがESA予算にも反映された。一方で探査関係は要求金額を大きく下回った。欧州はNASAと協力して探査計画を進めて来たが、火星サンプルリターン等米国の計画が不透明となる中、今後の方向性の見直しを行わざる得なくなった影響が出たと考えている。

我が国においては昨年までに戦略基金が6,000億円投入され、競争力の向上の為の活動が開始されて来ている。新興企業の設立も100社を超えて、2025年はSynspective,アクセルスペースの上場があり、上場新興企業は5社となった。防衛省の地球観測PFI事業にこれらの新興企業が受注しており、今後宇宙開発における役割が増して来ると考えている。政府投資に続いて、民間投資も堅調であり、今後は事業での投資回収に向けて動くフェーズに入りつつあると見ている。
大手については、衛星メーカは防衛事業や基金で確実に売上や開発を進めている。
打上げメーカについては、H2Aロケットが退役し、H3ロケットへの移行が進む中、12月8号機で打上げ失敗となってしまった。原因調査、対策はこれからとなっているが、世界の打上げ事業で順調なのは、Space-XのFalcon9とRocket LabのElectron、中国のみであり、他は押しなべて苦戦している。壁を突き破り、未来に向けて今年は是非飛躍して欲しいと願っている。


Novaspace社レポート『Satellites to be Built and Launched(第28版)』のご紹介

第28版:全248ページ
  • このたび、Novaspace社より、『 Satellites to be Built and Launched』第28版が発行されましたのでご紹介させて頂きます。
  • 従来、本レポートをご購入頂いている顧客の方々は本レポートにて取り扱っている世界の衛星製造・打ち上げ市場に関する詳細な分析内容などにつき既にご存じ かと思いますが、今回の新版ではさらに内容を拡充しております。
  • 最新の第28版では、業界を形作る最新の動向を反映するため分析を拡充・更新しました。主な内容は以下の通りです:
    • 米国政権下における新たな政府優先事項と政策
    • 数百件に及ぶ新規衛星・コンステレーション計画の追加
    • 衛星通信市場の変革と事業者コストベンチマークの徹底分析
    • 小型GEO衛星の台頭とスターシップの潜在的影響に関する洞察
    • 長期計画のための20年間の将来展望シナリオの拡充
  • 主な調査結果:
    • 今後10年間で打ち上げられる衛星は約43,000基、製造・打ち上げ総額は6,650億ドルに上る
    • 防衛分野が将来の市場価値の主要な牽引役であることが確認(2025~2034年の収益の48%を占める)
    • 5つのメガコンステレーションが打ち上げの66%を占めるが、市場価値全体の11%に留まる
    • 小型プラットフォームが経済性を再構築する中、GEO通信衛星需要が再び拡大
  • 本レポートの詳細につきましては、下記のURL (Product Page)にてご確認頂けます。また、無料の要約版(Free Extract)もダウロード可能です。 Satellites to be Built & Launched — Product Page
  • さらに本レポートにつき、ご質問及びご確認事項などがございましたら、Novaspace社日本事務所レポート担当の大石(tsuyoshi.oishi@nova.space)までご連絡ください。

2025年12月 宇宙ビジネス関連『事業ポジション別』・『市場分野別』トピックス

【民間宇宙トピックス】【防衛宇宙トピックス】【その他】
【衛星】■Reditus Space社が再使用可能衛星開発で700万ドルラウンド獲得(003)
■朱雀3号は試験飛行で軌道に到達するが第1段は着陸に失敗(016)(図-5)
■見過ごされがちであるが、宇宙開発競争が衛星を生き長らえさせている(022)
■FCCがSpaceX社の15,000衛星搭載VLEOコンステレーション審査開始(026)(図-8)
■スカパーJSAT社はスペースX社と次世代衛星2機打上げを契約、引き続いてSuperbird-9を含む3機を2027年以降順次打上げ予定(028)(図-19)
■衝突による宇宙破片は電波バーストを発生させ、デブリ気象警報を生む(029)
■ルックス・アエテルナ社はオーストラリアで初の再使用可能衛星回収を成功(056)(図-16)
■Planet社はGoogle社と提携した軌道データセンターに期待(082)(図-24)
■中国が「長征8号A」打上げ、衛星インターネット用低軌道衛星群を軌道投入(084)
■議会はLEOを望むが、脅威は現実(006)
■ICEYE社がポルトガル空軍に初のDirect-SAR衛星を納入(008)
■宇宙軍部門長が商業イノベーションが軍事宇宙戦略再構築と語る(018)
■ベンチマーク社がエドワーズ空軍基地でASCENTスラスター実証(031)(図-10)
■カナダは軍事通信衛星コンステレーションにTelesat社とMDA社を選定(033)
■BAEシステムズ社が先進自律型衛星開発でDARPA助成金を獲得(037)
■Starfish Space社とImpulse Space社が自律型宇宙船近接実証(045)
■ドイツがラインメタル社とアイサイ社に19億ドルのSAR衛星契約発注(057)
■宇宙状況監視への投資でどんな問題の解決を狙っているのか(059)
■宇宙安全保障の基盤は物流による衛星の安全性保持方法である(064)
■宇宙開発局がミサイル追跡衛星に35億ドル契約発注(065)(図-17)
■米宇宙軍とSpaceX社が480基MILNETコンステレーションを開発(078)
■未来は今:かつて遠く離れた技術が現実になりつつある(001)
■Spire社はデロイトの軌道上サイバーセキュリティプログラムのために8基の衛星を製造(002)
■宇宙船群で複数の技術ブレークスルーを達成(009)(図-2)
■新型宇宙船による高度な軌道上機動(012)(図-4)
■宇宙での商業および軍事的機能統合を主導(013)
■GEO衛星への燃料補給は国家安全保障や商業衛星市場にとって優先事項となると新たな分析が示された(030)(図-9)
■Vantor社はGPS不要ビゲーションシステムをNiantic Spatialと提携して防衛市場投入(049)
■BlueBird-6衛星の軌道展開によりDirect to Deviceの実証を実施(079)
【打上】■ブルーオリジン社は新グレン「ブロック2」アップグレード機を発表(007)
■ベガCロケットが韓国衛星を打上げ(010)(図-3)
■独Isar Aerospace社が欧州の技術実証衛星打上げ契約を受注(011)
■スペースX社がケープカナベラルにスターシップ打上げ施設建設承認を獲得(024)
■アリアン6ロケットが次のガリレオ衛星2基を打上げ(038)
■中国は2026年に有人月面およびLEOミッション用の新型ロケットをデビュー(039)
■スペースX社幹部がIPOへの関心を表明(042)
■ブルーオリジン社のニュー・グレン ロケットが大型打上げ市場に登場(044)(図-11)
■アストロボティクス社がサブオービタル宇宙機開発契約を受注(063)
■Rocket Lab社が記録的な打上げ年を締めくくる(068)
■ブルーオリジン社がニューシェパードで16回目の有人ミッション実施(070)
■インドのロケットがAST SpaceMobile社のブルーバード6型衛星打上げ(074)
■ブルーオリジン社はニューグレンの宇宙軍認証取得に向けて4回の飛行キャンペーンを計画(032)
■ULA社元CEOのブルーノ氏がブルーオリジン社に加わる(076)(図-23)
■Rocket Lab社がニュートロン「ハングリー・ヒッポ」認定(027)
■Rocket Lab社が米国宇宙軍とNASAの『ディスクサット』実験機打上げ(048) (図-12)
■長征12Aロケットは初の1段再使用打上げを実施し衛星は軌道到達したが、1段機体の着陸は失敗(071)
■ロシアが ソユーズ2.1b を打上げ、地球観測衛星Aist-2T等計52基衛星軌道投入(080)
■中国は2026年前半に再使用型長征10号派生型を投入(081)
■中国ランドスペース社はIPO承認で再使用型ロケット開発に10億ドルを獲得を目指す(083)(図-25)
【その他】■大幅な予算削減に直面するNASAの科学を守る(014)
■アイザックマン氏や上院議員は人類を月に戻すことの緊急性を強調(015)
■ISSに3か国から合計8機の宇宙船・補給船がドッキング中(020)(図-7)
■ようこそ、ジャレッド・アイザックマン(021)
■報告書は人類の火星探査の科学的目的を明記(035)
■アメリカの月への競争でなぜプランBは待てないのか(036)
■Intuitive Machines社とTelespazio社が月面衛星ネットワークで協力(040)
■MAVENはテレメトリーデータから軌道を外れて回転していることが想定(047)
■NASAはブルーオリジン社のVIPER月面輸送計画により月戦略を固める(053)(図-13)
■米国上院がアイザックマン氏をNASA長官に承認(054)(図-14)
■Max Space社が商業宇宙ステーションの計画を発表(055)(図-15) 
■ESAが探査計画資金不足に対処するための選択肢を検討(061)
■NASAの安全性審議会はアルテミスの計画の見直しを勧告(062)
■アイザックマン氏はプログラムを加速させることでNASAの指揮を執っている(067)
■火星でPerseveranceは科学ミッションを継続中(075)
■米宇宙軍が初期の「ゴールデンドーム」試作機契約を発注、宇宙防衛システムへの戦略的転換を示す(004)(図-1)
■中国の神舟22号救助船が天宮宇宙ステーションに到着(005)
■ミサイル防衛局は「SHIELD」開発ベンダーの選定はゴールデンドームのプレビューではないと述べる(019)
■中国は宇宙ステーション救命艇危機で緊急打上げの空白が生じている(023)
■米国宇宙軍はAIチャレンジを活用し、人工知能の日常的な利用を推進(046)
■トランプの国家安全保障戦略では宇宙が無視されている(050)
■米国議会のSBIR支援不履行は米国宇宙軍のイノベーションを遅らせている(058)
■MDA社がシダス社、ウルサ・スペース社と1510億ドルのゴールデンドーム用SHIELD開発契約を受注(072)(図-18)
■アンタレス社は宇宙用等原子炉開発に9,600万ドル獲得(017)(図-6)
■宇宙ベースのデータセンター開発戦略はコスト依存型(025)
【国内】■L3Harris社は気象庁のひまわり10号用計測機の詳細設計審査を終了(041)
■ロケットラボ社はJAXA「小型実証衛星4号機」を打上げ(043)(図-20)
■Pale Blue社は2027年にAxelspace社とホールスラスター宇宙実証へ(052)
■インターステラテクノロジズ社が南相馬でZEROロケット製造体制を強化(060) 
■H3ロケット8号機の打上げ失敗、 みちびき5号機を軌道へ投入できず(069)(図-22)
■Space BD社は2025年に超小型衛星10機の打上げを支援 ライドシェア3回を完遂(073)
■Synspective社がGMOサイバーセキュリティ社と提携しSmallSat防衛アーキテクチャ開発力を強化(034)
■QPS研究所の小型SAR衛星「スクナミ-I」 が12月21日打上げへ(066)(図-21)
■防衛省がシンスペクティブ社と三菱電機に衛星コンステレーションを発注(077)
■Astroscale社がタンブリング衛星を燃料不要で捕捉する特許取得(051)