海外宇宙ビジネス・マンスリーニュース

2025年7月31日 (株)サテライト・ビジネス・ネットワーク

編集者:岡屋 俊一
発行責任者:村上 淳

論説:今はチャンス(村上)

国際情勢は厳しいし、国内外共に政治、経済共に混迷を深めている。
しかし、宇宙に関しては、従来と比べて注目度がアップし、使う宇宙への理解が大きく進んでおり、今はチャンスなのではと感じている。
予算も民間投資も伸びている。イノベーションも起こりつつある。もう1歩踏み出せれば大きく飛躍出来るのではと感じている。

宇宙予算は世界的に2015年から拡大の傾向にあり各国の財政支出は増加傾向にある。民間投資については2021年にピークがあり、その後は落ち込みが見られたが、2024年は拡大に転じている。我が国においては2023年度予算から、宇宙戦略基金の立上げがあり、従来と比べて大きな伸びを示している。
予算や投資が拡大する要因としては、地上と宇宙の融合が進んで、宇宙は特別なものではなく、人々の生活を向上させる為に役に立つものは使いたいと意思を感じている。宇宙は行くのは大変だし、衛星も高くて簡単に買える様なものではなかったのも事実である。ただ、最近は打上げ価格が下がり、衛星も大きな高価なものだけでなく、小さな衛星も普及して来ており、身近に使える環境が整いつつある。Space-Xは年200回以上衛星を打上げており、打上げを日常生活レベルまで持ってきつつある。衛星も100kgで10億円だせばかなりの機能を実現出来るところまで来ている。カローラよりまだ生活に馴染んでいない気もするが、スターリンクを見ているとかなり身近になって来ていると感じている。
この様に宇宙を使いたいと言う意思の表れとして予算の拡大や民間投資の拡大が続いている理由ではないかと思っている。

勿論、国際情勢の厳しくなって来ている安全保障の重要性は言うまでもない。
安全な状況を作れてこそ、豊かさを享受出来るのは間違いない。安全保障環境を強化しつつ、人々の生活の向上に貢献出来れば良いと思っている。
イノベーションを起こしたい。起こす為に予算や投資を使いたいと思うのは否定しない。

誰もがイノベーションを起こしたいと思って活動しているのに上手く行かないのは、戦略や実力評価が出来ていないことによるのではと思っている。
弱いとことは弱いと認めて、弱いところでも必要だから実施する。競争力の強化の為に実施するが容易ではないことを含めて真摯に議論する必要があるのではないだろうか。

世界1位を目指す技術開発の予算が並んでいるのに、GDPの順位はどんどん落ちている状況を素直に分析する必要があるのではないだろうか。

諸外国も宇宙開発には苦労しており、夢の実現の為の宇宙開発に行くのは実現出来ても、産業に貢献出来るレベルになるには達していない。この壁を超えるのは容易ではないのも事実である。
上手く行っていると言えるのは米国、中国位で他の国はどこも苦労している。米国、中国さえも規模の大きいのは事実であるものの投資効果が十分発揮出来ているか疑問に感じる点もある。

予算が増えて民間投資も拡大している今こそ、宇宙の近代化と産業拡大に取組みチャンスと考えたらどうだろうか。

NOVASPACEとしては旧Euroconsultの時から長年Parisの中央に位置する歴史あるWESTIN Hotelでイベントを開催して来ましたが、WESTIN Hotelの改修に伴い、日本大使館に近い、Hotel du Collectionneurで開催することになりました。今年も多数の方に参加頂きたいと思っています。

  1. WSBW(World Space Business Week)
    • 宇宙ビジネス関連各社(衛星事業者、衛星製造会社、打上げ事業者、金融業者など)のトップクラスの方々が集まるコンファレンス。
    • 開催日/場所:2025年9月15日-19日/ Hotel du Collectionneur ・パリ
  2. SDSS(宇宙防衛・安全保障サミット)
    • 防衛、安全保障、宇宙産業におけるグローバル・リーダーが会するイベント。昨年に続いて第2回目の開催。
    • 開催日/場所:2025年9月16日-17日/ Les Salons Hoche・パリ

Since   1997
Business Leaders Attending     1.600+
Executive-Level Speakers         260+
Partners & Sponsors                 110+
Public and Private Organizations   520+

Speakers 60+
Attendees 300+
Sponsors & Partners 30+
Countries 35+

SDSS(宇宙防衛・安全保障サミット):

本サミットは、国際的な防衛・軍事団体の協力と支援により開発され、防衛、安全保障、宇宙分野の世界的リーダーが集まるプラットフォーム。IRIS2と政府衛星網との連携についてもデスカッション予定。

《プログラム概要》

  • Space Commands’ Leaders: Navigating a Rapidly Evolving Space Domain
  • International Cooperation: Shaping the Future of Space Security Frameworks
  • Strategic Perspectives from Defense and Armament Agencies
  • Novaspace’s Strategic Views
  • Space Surveillance soon facing a 50,000+ objects’ environment
  • Space as a Modernization and Augmentation Asset for Military Force
  • Space Agencies’ Contribution to the Security Equation
  • From Innovation to Operations: Enabling the Transformation of Defense Capabilities
  • Building Next-Generation Military and Secure Space Systems
  • Satcom Constellations: Unlocking New Capabilities for Military Communications
  • Geospatial Intelligence: Next Frontiers and Challenges for GEOINT
  • Enhancing Mission and Cyber Security
  • Integrating Space-Based Capabilities into Military Platforms

2025年7月 宇宙ビジネス関連『事業ポジション別』・『市場分野別』トピックス

【民間宇宙トピックス】【防衛宇宙トピックス】【その他】
【衛星】■Planet社が欧州市場に進出、ドイツとの新たな契約を発表(001)
■タレス・アレニア・スペース社がSOLiS超高スループットレーザー通信デモンストレーターを開発(002)(図-1)
■ボーイング社はSES社が不要になりそうなO3bmPower衛星を出荷(004)(図-2)
■Rocket Lab社がSDAのT2TL-BetaコンステレーションのCDRを完了(007)
■投資家はリターンが見えるにつれて宇宙関連投資を倍増基調(022)
■英国は戦略的LEO投資を維持するためにEutelsatの資本増強に(023)
■ボーイング社が米国戦略衛星通信能力強化で28億ドル契約締結(040)(図-12)
■ESCAPADEがニューグレン2号機で打上げ(045)
■SES社がIntelsat社との契約を締結、迅速な変革に向けて方向性設定(046)
■L3Harris社はPNTの将来に向けた準備を実施中(048)
■NISARは7月30日に打上げられる予定(057)
■ASTスペースモバイル社は初期対応者に直接衛星リンク提供承認を求める(058)
■ボーイング社O3bmPOWER衛星2基が打上げ成功、SESコンステレーション強化(062)
■Viasat社がIoT NanoでグローバルなIoT機能を拡張(066)
■宇宙軍が人工衛星用太陽光発電「アトミック6」の開発に資金提供へ(005)(図-3)
■中国が初の機密の十堰28B実験衛星を打上げ(010)
■宇宙軍が衛星調達を廃止し、より柔軟な戦略に転換(012)
■中国衛星の軌道上マヌーバ―は平和と挑発の境界線を曖昧にしている(025)(図-8)
■中国の実験衛星が想定外の軌道に登場(029)
■米国議会が国防総省に商業衛星諜報プログラムへの資金提供を迫る(032)
■宇宙軍のMILNETコンステレーションが資金不足の最優先事項として浮上(037)(図-11)
■防衛事業者がAIに覚醒(038)
■宇宙軍が長年の遅れを経てGPS制御システムの納入を受け入れる(052)
■米国アストロスケール社がNASAと宇宙法協定を締結し国家安全保障の軌道上サービス能力を向上させる(054)(図-14)
■米国宇宙軍が軌道上の緊急事態における民間衛星の利用をリハーサル(056)
■米国宇宙軍が新静止衛星監視ネットワークに複数の企業を選定(059)
■米国宇宙開発庁の衛星ネットワークが「成否を分ける」瞬間を迎える(060)
■GovSat社がタレス・アレニア・スペース社に防衛通信衛星を発注(068)(図-17)
■Spire Global社が防衛市場向け新宇宙ベースのインテリジェンス製品発売(071)
■ボーイング社が次世代原子力電池による通信衛星製造の28億ドル契約締結(011)(図-5)
■スペースデブリの脅威を抑止するための英国宇宙機関の新調達プロセスに7,560万ポンドを拠出にPlextek社コメント(013)
■エアバス社が新組織構造を構築(017)
■宇宙産業は新技術にかかわらず使捨て衛星モデルに固執(024)
■中国がLEOブロードバンドの優位性をめぐる競争に参入(035)
■世界宇宙評議会の公開書簡が各国政府は周回軌道で増大する危機に対処が必要と説明(039)
■ソレスティアル社が120万ドルのSpaceWERX契約を獲得(044)
■GMV社がESA ARTES支援を通じてLEOコンステレーションの次世代衝突回避サービスを開発(055)
■Morpheus Space社がGO-2軌道上デモで次世代電気推進を検証(061)(図-15)
■DeepSat社がVLEOでのミッションにRedwire社のAI搭載デジタルエンジニアリングシステムを選定(067)
■Dawn Aerospace社が衛星コンソーシアムLEO2VLEOに衛星推進系で参加(076)
【打上】■Latitude社がZephyr小型ロケットの新工場及び新契約を発表(006)
■英国Orbex社とドイツExolaunch社が小型衛星打上げサービスで提携(008)
■ESAが欧州打上げロケットチャレンジに向けてダウンセレクトを準備(009)(図-4)
■ESAが衛星打上げロケット競争の次の段階で5社を選出(015)
■宇宙業界は新規衛星打上げライセンス料の有効性に疑問を抱いている(036) 
■ファルコン9号がプロジェクト・カイパー衛星を打上げ(043)
■米国下院でSLS EUS上段システムの代替案への歳出へ関心示す(065)
■ブルーオリジン社が2026年春に初のブルーリング宇宙船を打上げ(073)(図-18)
■ギルモア・スペース・テクノロジーズ社がエリス・ロケットの初試験打上げに成功し、オーストラリア宇宙開発に大きな飛躍をもたらした(079)(図-25)
■米国宇宙軍が打上げ需要の急増に伴い軍事任務優先ガイドラインを設定(047)(図-13)
■ULA社が米国宇宙軍宇宙システム司令部USSF-106ミッションに向けてバルカンロケット打上げ準備を継続(063)(図-16)
■インドのGSLVがNASA-ISROレーダー衛星を打上げる(080) 
■Firefly Aerospace社が公開へ(030)
■ロケットラボ社がニュートロン着陸プラットフォームの改造のためにボリンジャー造船所を選択(033)
■中国の長征10号有人宇宙ロケットの構造試験を実施(049)
■ULA社はバルカンロケット中心のフリートへ移行中で2025年の打上げ回数の要望を緩和(075)
【その他】■米国議会でNASAに100億ドルを拠出する予算調整法案を可決(016)(図-6)
■ダフィー運輸長官がNASA長官代理に任命(019)(図-7)
■NASAは次のスターライナーミッションでは貨物のみの飛行を検討中(027)
■下院法案はNASA予算削減案を拒否し、予算を探査計画へシフト(028)(図-10)
■NASA有人ミッション「Crew-11」が早ければ8月1日に打上げ JAXA油井亀美也宇宙飛行士ら4名がISSへ(031)
■ノースロップ・グラマン社が外惑星飛行用推進装置の重要なテストを完了(034)
■米国上院予算では継続危機のNASAの科学ミッションに資金が提供申請(051)
■ロッキード・マーティン社はOrion宇宙船を商用サービスへ提供を検討中(070)
■宇宙業界はISS資金削減による深刻な影響を警告(072)
■Firefly Aerospace社が4 回目の月着陸船製造を受注(077)(図-23)
■DARPAは打上げコストの削減策のためDRACO原子力推進プロジェクト中止を発表(003)
■米国上院がゲトライン氏をゴールデンドームの責任者として承認(050)
■ボーイング社製のX-37Bスペースプレーンが8回目のミッションに臨む(078)(図-24)
■協力と統合がヨーロッパの宇宙産業を長続きさせる(014)
■中国は月、火星、宇宙支配に目を向けている(026)(図-9)
■宇宙原子力発電システムの急速開発を求める新しい研究(042)
■今すぐ行動しないと中国が月を自由に所有するが生じる(053)
■約4,000人のNASA職員が自主退職を選択(074)(図-22)
【国内】■オーストラリアのギルモア・スペース社と日本のスペースBD社が衛星打上げサービスを提供し、アジア太平洋地域での事業機会を拡大(018)
■Synspective社がExolaunch社と複数打上げ契約を締結(020)(図-19)
■日本のインターステラ社がシリーズF資金で6200万ドルを確保(021)
■Sierra Space社が三菱重工業から契約を受注(041)(図-20)
■JAXAが30形態のH3ロケット1段目実機型タンクステージ燃焼試験実施(064)
■JAXAがH3ロケット30形態燃焼試験を実施し計画通り終了と発表(069)(図-21)