海外宇宙ビジネス・マンスリーニュース
2025年6月30日 (株)サテライト・ビジネス・ネットワーク
編集者:岡屋 俊一
発行責任者:村上 淳
論説:防衛の在り方について(村上)
欧州では防衛費の拡大、宇宙予算の拡大の動きが出て来ている。欧州は陸続きの国家集合体なので何時侵略者が来ても不思議はない。歴史的にも古くはオスマン帝国、ローマ帝国、ナポレオンと言った具合に軍事力を背景に大陸を制覇する動きが続いて来た。
第2次世界大戦では、米国を中心とした連合国の勝利に終わったことから、NATOにより力での侵略は防げると考えて来た。しかし、Trump政権において域内の防衛は域内で行う様に方針が変更になって来ている。米国の支援とロシアに力が無いのでウクライナは持ちこたえているものの米国抜きでは兵站も儘ならない様では何時まで頑張れるのだろうかと心配になってしまう。
ウクライナは、米国のパトリオットでミサイルを迎撃し、衛星データは米国に提供して貰い、戦場での連絡もStarlinkを使って連絡を取っている。ミサイルの着弾点は米国のGPSデータによっている。米国に余裕があり、友好的である時はこのことは余り問題視されて来なかった。
自国は自国で守ることが出来る様にすることは基本と考えている。今回、NATO加盟国は防衛費をGDPの5%にすることで合意した。
欧州は国の集合体なので各国の意向は異なるので各国が同じ方向に向かって進むまでは時間を要するとは思うが、ウクライナの事例を見ていると余り猶予はないと思っている。
宇宙に関しても欧州はこれまでは防衛目的よりも商業を重視して来た。効率的な防衛網を作る上で宇宙の役割は重要になって来ている。欧州委員会や欧州宇宙機関でも総論では一致しても国の意向が重視され、望ましい方向に進むのは難しかった。
民間航空機のビジネスは奇跡と言われる位、上手く機能した。宇宙においても監視網の整備や低軌道通信衛星網の整備で上手く機能して欲しいと感じている。
我が国においてもこれから防衛費の拡大や宇宙の強化が出て来ると考える。我が国の場合は、国は1つであるもの省庁の壁が高く、国として最適なシステムを作るのが難しかった。
内閣府の主導の元、効率的な開発・整備が行われ、堅固なシステムが作れる様に頑張って欲しいと感じている。日米協力と言っても過度に依存する状況はいざ鎌倉と言った時に対応が難しくなる。責て自国の状況監視は自国の衛星で行える状況を作るのは最低限必要ではないかと思っている。環境衛星を否定するつもりは無いが、世界に貢献するよりも先ずは自国の周りを隈なく見れる様にしておくことは必要ではないかと思っている。
米国を見ていてもミサイルの迎撃システムはそう簡単に出来ない。我が国が少ない予算で同じ機能を持つシステムを作るのは極めて難しい。どこまで予算を使ってどこまで実施するかの議論も必要と感じている。超音速ミサイルの追跡、迎撃は世界のどこの国も実現出来ていない。
米国の場合は、ミサイルが飛んで来るまで分析する時間があるので迎撃出来る可能性はあるが、我が国の場合は、近距離に位置する国から飛んで来る可能性があり難度はかなり高くなる。課題を示してどの様に対処するか示すことも必要ではないかと感じている。
NOVASPACE主催イベントWSBW及びSDSSのご案内
NOVASPACEとしては旧Euroconsultの時から長年Parisの中央に位置する歴史あるWESTIN Hotelでイベントを開催して来ましたが、WESTIN Hotelの改修に伴い、日本大使館に近い、Hotel du Collectionneurで開催することになりました。今年も多数の方に参加頂きたいと思っています。
- WSBW(World Space Business Week)
- 宇宙ビジネス関連各社(衛星事業者、衛星製造会社、打上げ事業者、金融業者など)のトップクラスの方々が集まるコンファレンス。
- 開催日/場所:2025年9月15日-19日/ Hotel du Collectionneur ・パリ
- SDSS(宇宙防衛・安全保障サミット)
- 防衛、安全保障、宇宙産業におけるグローバル・リーダーが会するイベント。昨年に続いて第2回目の開催。
- 開催日/場所:2025年9月16日-17日/ Les Salons Hoche・パリ
SDSS(宇宙防衛・安全保障サミット):
本サミットは、国際的な防衛・軍事団体の協力と支援により開発され、防衛、安全保障、宇宙分野の世界的リーダーが集まるプラットフォーム。IRIS2と政府衛星網との連携についてもデスカッション予定。
《プログラム概要》
- Space Commands’ Leaders: Navigating a Rapidly Evolving Space Domain
- International Cooperation: Shaping the Future of Space Security Frameworks
- Strategic Perspectives from Defense and Armament Agencies
- Novaspace’s Strategic Views
- Space Surveillance soon facing a 50,000+ objects’ environment
- Space as a Modernization and Augmentation Asset for Military Force
- Space Agencies’ Contribution to the Security Equation
- IRIS² and Institutional Perspectives: The Future of Secure Government Satcom
- From Innovation to Operations: Enabling the Transformation of Defense Capabilities
- Building Next-Generation Military and Secure Space Systems
- Satcom Constellations: Unlocking New Capabilities for Military Communications
- Geospatial Intelligence: Next Frontiers and Challenges for GEOINT
- Enhancing Mission and Cyber Security
- Integrating Space-Based Capabilities into Military Platforms

2025年6月 宇宙ビジネス関連『事業ポジション別』・『市場分野別』トピックス
【民間宇宙トピックス】 | 【防衛宇宙トピックス】 | 【その他】 | |
【衛星】![]() | ■CMA(英国公正取引員会)がSES社とインテルサット社の合併を承認(001) ■Maxar Space Systems社が高出力衛星EchoStarXXVI製造契約に選定される(009)(図-3) ■O3b社がmPOWER衛星7機目及び8機目でコネクティビティサービス提供(010) ■イタリアのSITAEL社が小型衛星プラットフォームを発表(023)(図-6) ■欧州、SES社-インテルサット社協定を無条件で承認(029) ■Quantum Space社が4,000万ドルを調達(030) ■ミューオン・スペース社は衛星生産を拡大及び推進装置開発スタートアップを買収するために9000万ドルを調達(037) ■Pulsar Fusion社がテキサス州に新オフィス建設で米国に進出、またThales Alenia SpaceとのMOUを締結(043) ■BlackSky社が広域イメージング衛星を発表(050) ■エアバス社は宇宙ビジネス拡大が順調に進んでいると語る(062) ■ESAとタレス・アレーニア・スペース社、ブルー・オリジン社が協力機会を探る(064) | ■ゴールデンドームはデータがすべて(004) ■米国宇宙軍がBAEシステムズ社にミサイル追跡衛星の12億ドルの契約発注(005)(図-2) ■新攻撃対象領域は宇宙からスマートフォンへ展開(019) ■Maxar社とSaab社が戦略的パートナーシップを締結し、マルチドメインの戦場ソリューション開発(022) ■韓国ハンファシステム社がユーテルサットのワンウェブ株式から撤退し、軍事衛星事業注力(024) ■下院の予算担当者が国防法案を発表、宇宙軍の資金増資(027) ■中国宇宙船が米国の監視衛星が近くに潜んで、軌道給油試験の準備中(028)(図-8) ■BAEシステムズ社が韓国ハンファ社を情報収集コンステレーション衛星開発チームに迎える(033) ■クレイトス社が米国宇宙軍の最新戦略衛星通信で2,500万ドル契約受注(035) ■トランプ大統領がゲトレイン宇宙軍大将を「ゴールデンドーム」リーダーに指名(054) ■ゴールデンドームの成功の鍵は「使えるようにする」こと(066) ■SpaceX社は米国宇宙軍の気象衛星打上げ契約を8160万ドルで受注(080) | ■Impulse Space社が事業拡張と新技術開発のために3億ドルを調達(008) ■ノースロップ・グラマン社が宇宙船を次世代宇宙ロボット整備システムとして統合(015)(図-4) ■Enpulsion社はNexus電気推進システムを公表(016)(図-5) ■中国が国光メガコンステレーションの第4グループを打上げ(017) ■アルカディアスペース社が軌道上過酸化水素スラスター試験(026) ■中国が欧州のパートナーと新地球観測用地震電磁衛星を打上げる(041) ■中国のCangyu社は混合軌道利用商用データ中継衛星システムを計画(049) ■Portal Space Systems社がSupernovaの大型工場を建設(056) ■ノースロップ・グラマン社はNVIDIA AI 技術の利用を拡大し、宇宙ソリューションを前進(058) ■ION-X社はイオン燃料推進システムの宇宙空間作動を達成(059) ■ (図-14) ■ThrustMe社が100セット目の推進システムの打上げを祝う(069) ■ (図-17) ■Lux Aeterna社は完全に再使用可能な衛星プラットフォーム開発で資金を得て公開(072) |
【打上】![]() | ■ブルーオリジン社は「ニューシェパード」で12回目の有人ミッションを実施(003) ■Rocket Lab社がBlackSky社の地球観測Gen-3衛星ミッション打上げ(006) ■ハイブリッドロケット開発中のReaction Dynamics社が初打上げに備える(032) ■中国が有人宇宙船発射台でのアボート試験成功で月面着陸計画前進(051) (図-12) ■スターシップが爆発してテストスタンドが破壊(057)(図-13) ■ULA社は月曜日にAmazon社のKuiper2のAtlas Vによる打上げ(063) ■Atlas 5がProject Kuiper衛星の2セット目の打上げ成功(067) ■Isar Aerospace社が1億5,000万ユーロを調達(073)(図-18) ■NASAとL3Harris社はアルテミス用新RS-25エンジンの燃焼試験を実施(075) ■技術情報保護協定によりスウェーデンからFirefly社打上げが可能(077)(図-24) アルテミス用新設計SLS固体ブースターは燃焼試験中に異常発生(079)(図-25 | ■米国宇宙軍はJacobs Technology社に40億ドルの射場アップグレード契約発注(007) ■Ursa Major社は米軍極超音速試験用エンジン供給契約を受注(048)(図-11) | ■ドーン・エアロスペース社はオーロラ・スペースプレーンをオクラホマ州に販売(038) ■中国CAS Space社が初打上げに先立ち、Kinetica-2ロケット第1段エンジンの燃焼試験と貨物デモを実施(039)(図-9) ■中国Landspace社が再使用可能なZhuque-3ロケットの9基のエンジン燃焼試験実施(061) (図-16) ■アリアン6の打上げ回数の増加には数年かかる可能性あり(065) ■Rocket Lab社が欧州ナビゲーション技術デモ衛星を打上(070) ■Rocket Lab社がElectron2基を48時間のインターバルで打上げ(081) |
【その他】![]() | ■Sierra Space社がNASAから月面ロジスティック契約を獲得(002)(図-1) ■NASAのエスカペイドはニューグレンの2機目で打上げられる可能性あり(018) ■アイザックマン-マスクについて”axes to grind”する人物が原因でNASA長官の指名が取り下げられる(021) ■NASAが民間AXIOM-4ミッションのISSへの新たな打上げ日を設定(042) ■政権のコンセンサス済みの火星計画への反対は失敗するだろう(045) ■これまでの月面開発の偉業を維持するための国際委員会が必要(046) ■中国が宇宙船によるシス・ルナ・インフラの基盤を月軌道に構築(047)(図-10) ■Firefly社は商用月面画像サービスを発表(052) ■Varda社が軌道上製造のための初の自社製宇宙船を打上げる(053) ■ESAが民間のオービタルリーフの利用に関する合意書署名(060)(図-15) ■Axiom Space社の4回目の民間宇宙飛行士ミッションがISSに打上げ(071) ■Axiomミッション4でのSpaceXの宇宙飛行士の打上げに関するAxiomの発表「Axiomステーションへの足がかりとなる成果」(074) ■アイザックマンは、民間資金による科学ミッションに興味を示す(076) | ■シエラ・スペース社に防衛隊が発足(036) | ■NASAの予算危機は宇宙開発計画変化の機会をもたらす(012) ■NASAの諮問委員会が新たな政治情勢をどのように舵取りしているか(013) ■宇宙原子力発電により活性化された衛星推進系技術(025)(図-7) ■ESAはNASAの予算削減案の影響を調査(040) ■中国の神舟20号の宇宙飛行士が2回目の宇宙遊泳を完了で天宮宇宙ステーションの運用強化(078) |
【国内】![]() | ■アストロスケール社はOneWeb衛星除去デモの詳細設計レビューを通過(011)(図-19) ■ispace社の2機目の月着陸船が行方不明(014)(図-20) ■Ispace社が月着陸機「レジリエンス」のミッション終了を発表 通信回復せず着陸確認困難(020) ■Synspective社が「ALOS-4」衛星のデータ及びサービスプロバイダに選定(034) ■レーザー距離計がispaceの2回目の月着陸船の着陸失敗の原因とされる(068) ■H-IIAロケット50号機打上げ成功し、2001年からの24年間の運用に幕(082)(図-23) | ■Open Cosmos社とAstroscale社が515万ポンドの英国防衛契約で提携し、SSA強化のためのオルフェウスミッションに参加(044)(図-21) | ■Electronロケットが3ヶ月で3機目のiQPS衛星を打上げ(031) ■ホンダ子会社が再使用型ロケット垂直離着陸実験成功(055)(図-22) |