海外宇宙ビジネス・マンスリーニュース
2025年1月31日 (株)サテライト・ビジネス・ネットワーク
編集者:岡屋 俊一
発行責任者:村上 淳
論説:地球観測を取り巻く状況について(村上)
商業地球観測データ市場は、全世界で16億ドルで過去5年間年率5%で拡大している。
特に付加価値サービスの分野は急激に拡大している。宇宙を地上のビジネスの手段として活用出来るかがポイントとなっている。所詮人が住んでいるのは地球であり利益を生み出しているのは地上のシステムであり、地上のシステムに宇宙がどれ位貢献出来るかによってビジネスが拡大できるかどうか決まって来るのは言わずもがなである。
そう言った観点では単なる画像販売のビジネスは限定的で付加価値サービスへどの様に入って行くかが問われている。付加価値サービスはある意味、地上システムとの競争になったり、地上システムでは実現が難しい事項になるので、宇宙のインフラを使っても簡単に実現出来ないものが多々ある。開発志向の強い宇宙分野の人材は良いものを作れば使って貰えるとの志向が強い。
ビジネスは役に立って幾らで幾ら性能が良くても時間との争いをしている人に1日遅れのデータを提供しても古新聞にしかならない。
従来よりも分解能を上げて、タイムリーに画像を提供し、サービスの中に組み込んで貰う必要がある。付加価値サービスはデータ量とスピードと解像度のパラメータで市場として価値があるか認められて初めてビジネスとなる。
地上ではAIが活用され、大量のデータのデータセンターも整備されて来ている状況を考えると宇宙はこれから発展の可能性を持っていると感じている。シリコンバレーの新興企業の様に自由な発想で新しいものをどんどん取り入れて行けば市場は自ずと広がって行くのではないだろうか。 宇宙は長らく村として存続して来た。しかし、村のままだと活気もなく面白味に掛けると思っている。小さな国で何でも揃っている日本で付加価値サービスを行うのは難しいとの意見もあるが、小国のシンガポールでさえも付加価値サービスが拡大している。我が国も新たな分野の開拓に他産業と連携して取り組んで欲しいと思っている。
諸外国では、新規の分野の開拓と併せて防衛により売上基盤を築いており、この点も忘れてはならないと思っている。付加価値サービスの展開には、インフラ整備が必要であるが、インフラが防衛と言った確実なベースロードに支えられていれば新たな分野への進出も容易になる。
商業衛星データが軍の作戦に使用される様になって来ている現実を見ているとセキュリティの確保は勿論必要であるものの使えるものは使ってしまえと言ったTrump流のやり方もある意味説得力を持つと考えている。
新政権では地球観測プロバイダーとの連携を強化するとの方針を出している。米国地球観測衛星会社プラネットの様に数多くの衛星を展開している会社と連携して世界の状況を効率良く込まなくチック出来る様にしておくことは世界展開する米軍に取って必須になっている。
この様な流れを受けてか、プラネットは、防衛・諜報市場での拡大を目指し、元米宇宙軍将軍ジョン・「ジェイ」・レイモンドを取締役に迎えたとのことである。
プラネットは世界最大級の商用衛星コンステレーションを運営しており、毎日200機以上の地球観測衛星で世界中をカバーしている。この強みに加えて、防衛顧客へのサービスを拡大する為、高解像度衛星のペリカンの打上げを行う計画である。
この2つのシステムを組合わせることで全体動向観測と詳細分析を連携しつつ行うことが可能となる。民間ビジネスについても従来の低解像度の衛星に加えて高解像度の衛星を加えることでビジネスを拡大したいと考えているとのことである。
米国では地球観測衛星メーカの競争がし烈で、競争することで新たなサービスも生まれる好循環を起こしている。世界で行われていることは比較的シンプルでどうやって儲けるかが基本である日本から世界で儲ける企業がもっと出て来て欲しいと思っている。
2025年1月 宇宙ビジネス関連『事業ポジション別』・『市場分野別』トピックス
【Established Space及び他トピックス】 | 【Hybrid Space】 | 【Emerging Space】 | |
【衛星】![]() | ■ 国家宇宙安全保障分野の監督は誰が担うか(003) ■ 中国が軌道上での燃料補給とミッション延⻑技術を実証するためにShijian-25衛星を打上げ(005) ■ 中国GuoWang打上げは衛星の⽬的と透明性に疑問を⽣んでいる(008)(図-3) ■ ノースロップ・グラマン社戦術SATCOMペイロードが組⽴てられる(010)(図-4) ■ オランダ軍がMaxar社と衛星情報協定を締結(015) (図-6) ■ ⽶軍衛星が初のクロスベンダーレーザー通信リンクを実現(016)(図-7) ■ 国防総省の軌道上の衛星異常を調査するための新ツール開発(029) ■ イタリア宇宙機関とTAS社がJPLのSBG-TIRミッション契約に署名(049) ■ 宇宙産業界はトランプ⼤統領の関税政策にどのように対応するのか(051) ■ 中国が数千機のメガコンステレーション衛星計画の第4弾を打上げ(053)(図-22) ■ 商業気象衛星スタートアップはトランプ政権下で資⾦調達の増加を予測(062) ■ 宇宙軍は軌道上物流と衛星サービスの戦略を依然検討中(069) ■ GPS III SV-07が運⽤承認を受ける(070) ■ インドは2025年最初のロケット打上げでNVS-02航法衛星を軌道投⼊(071) ■ ⽶国宇宙軍がテックアクセラレーター開発企業選定(075) | ■ インテルサット社とワンウェブ社がアラスカエリアでマルチオービットサービスを展開(013) ■ ヴァルダ社2回⽬のミッションは⽶国空軍ペイロード回収である(028)(図-13) ■ 欧州の2企業が静⽌量⼦暗号ペイロードを開発(045)(図-18) ■ Array Labs社、Raytheon社、Umbra社が宇宙からの3Dマッピングに焦点を当てたパートナーシップを締結(065) | ■ ピーター・クラウスがテラン・オービタル社を率いイノベーションと成⻑を牽引(002) ■ 研究者がスペースデブリ発⽣抑制させるという国連の⽬標を提案(014) ■ ルビコン社がNASAにデュアルモードミッション⽤推進系提供(017)(図-8) ■ ロケットラボ社はSDA⽤コンステレーション衛星を順調に開発中(018)(図-9) ■ Astranis社はGEO衛星4機の最初の計画マイルストーンを通過(019) ■ ICEYE社が地球観測能⼒拡⼤のために2基のSAR衛星を打上げ(023)(図-10) ■ ディガンタラ社はSpaceXでインド初の国産宇宙監視衛星ミッションを実施(030) ■ プラネット社が⾼解像度ペリカン2号衛星と36機のSuperDovesを打上げ(031) ■ Voyager Space社が国家安全保障へ注⼒拡⼤のために製品ブランド改良(036) ■ Xplore社がマルチスペクトル・コンステレーション⽤ハイパースペクトル衛星打上(037)(図-16) ■ Sierra Space社のGPS衛星が重要なマイルストーンに到達(043) ■ Redwire社がEdge Autonomy のUAS技術を取得(044) ■ Rocket Lab社がOroraTech社と⼭⽕事検出および監視ミッションを開始(047) ■ JWSTは運営予算の削減の可能性に直⾯(056) ■ ヨーク社がペイロード1,000キログラムのMクラス衛星を発表(072) ■ Planet社がアジア太平洋地域衛星ユーザーから2億3,000万ドル契約獲得(073)(図-25) ■ AstroForge社が今後の⼩惑星ターゲットミッションを発表(074) |
【打上】![]() | ■ 中国は2025年に新しい⻑征と商⽤ロケットをデビュー予定(001)(図-1) ■ 中国の海上打上げで10基の航法強化衛星が軌道に投⼊(024)(図-11) ■ 中国が再使⽤型ロケットの⾼⾼度⾶⾏試験を実施(042) ■ 衛星打上げバックログ数が全⽶最繁忙宇宙港の制約条件として浮上(076) ■ アリアン6がフランス国防調達技術局のCSO-3衛星を打上げ(078) | ■ FAAはニューグレン着陸失敗について事故調査を要求(040) ■ FAAがStarship上段宇宙船の残骸を調査(041) | ■ SpaceX社が衛星コンステレーションの展開のためにNROL-153衛星を打上げ(020) ■ Blue Origin社はNew Glenn初号機打上げに苦労中(026) ■ ファルコン9が⽇⽶各々の商業⽉⾯着陸船を打上げ(032) ■ ブルー・オリジン社が新型ロケット「ニューグレン」初号機打上げを実施(035)(図-15) ■ スターシップ上段宇宙船が7回⽬のテスト⾶⾏で喪失(038)(図-17) ■ 中国ロケットスタートアップが完全再使⽤型ロケット計画の早期資⾦を確保(064) ■ Firefly社はWallopsとスウェーデンからのアルファ打上げ計画を進める(068)(図-24) ■ SpaceX社は⽉曜⽇にMaxarのWorldview Legion 5および6を打上げ(077) ■ Virgin Galactic社とRedwire社がサブオービタル研究で提携(080) |
【その他】![]() | ■ NASAは将来の有⼈⽕星ミッションのテストベッドとしての⽉の役割を強調(007) ■ NASAは⽕星のサンプルリターンのための2つの代替アーキテクチャを検討(009) ■ ⽇欧の⽔星探査機「ベピ・コロンボ」が最後の⽔星スイングバイを実施(021) ■ トランプ政権は中国への対抗上⺠間宇宙ステーション活⽤が必要がある(025) ■ 中国のYutu-2ローバーは歴史的な⽉の裏側ミッションの後、活動が停⽌(027)(図-12) ■ スペース・ローンチ・システムとオリオンは、トランプ政権下で将来があるか︖(033) ■ 中国は⽉⾯宇宙船に動⼒を供給する軌道上レーザーの使⽤を探求(046) ■ バイデン政権からトランプ政権への移⾏でSLS計画は︖(050) ■ NASAがアルテミス物資⽀援計画研究を発注(052) ■ ボーイング社は第4四半期にスターライナーの損失を追加すると予測(054) ■ 中国が⽉⾯ミッションへの商業参加を初めて受け⼊れる(060) ■ 中国の⽉⾯アジェンダ- ⾼まる警告(061) ■ ESAはタレス・アレーニア・スペース社に⾦星ミッション参画を依頼(067) | ■ Rocket Lab社がNASAに⽕星サンプルリターン計画を⺠間競争に開放するよう要請(011)(図-5) | ■ SpaceX社はStarshipフライトで機体アップグレードとペイロード放出を実施(004)(図-2) ■ 反物質を利⽤した“究極の”推進システムの現状と今後の展望(034)(図-14) ■ ⽉の重⼒の影響を実証するためニューシェパード打上げを計画(055) ■ Vast社とSpaceX社が⻑期宇宙滞在研究提案書を共同募集(066)(図-23) ■ 欧州でアルゴノート社が⽉着陸船開発資⾦9億ドルの契約を受注(079) |
【国内】![]() | ■ X線天⽂衛星「すざく」が⼤気圏に再突⼊科学観測終了から10年経過(022) ■ 先進レーダ衛星「だいち4号」がギネス世界記録に認定される(057) ■ JAXAとNEC社が1.5μm光衛星間通信によるミッションデータ伝送に成功(059)(図-21) ■ JAXAがH3ロケット5号機打上げ⽇を2⽉2⽇に決定(081) | ■ インターステラー社とトヨタが戦略的パートナーシップを締結(006) ■ D-Orbit社と共に⽔スラスタ―をペールブルー社は宇宙実証を⾏う(012)(図-19) ■ パスコ社が⽇本の最新レーダー衛星にデータを提供(058)(図-20) ■ GITAI社はデモ成功後、衛星製品ラインを拡⼤中(063) |